INTERVIEW

2021.12.01

【座談会】伴走してほしい…現場で活かすリスキリング最前線〜前編〜

<概要>
“共創”をキーワードに、企業の枠を超えて共通の目的を持った同志が共にプロジェクトに取り組む時代となりました。PRODUCE THINKING LAB(プロデュース・シンキング・ラボ)の記事企画として、共創活動の重要な起点となる“事業プロデューサー”を育成する独自メソッド「プロデュース・シンキング」の研修を受講いただいたNECソリューションイノベータ(以下、NES)社員の方を招き、オンライン座談会を実施しました。

今回の前編では、当時の“刺さったワード”や研修中に感じたことを中心に伺い、次回の後編では、研修終了後に実務でどのように活かされたのか、また、受講生の目線からPRODUCE THINKINGに今後どのようなことを期待するのか、ざっくばらんに伺いました。

【座談会参加者紹介】

■土屋 一美さん(以下、土屋さん)

受講時期:2019年6月期(第1回研修)
所属(現在):デジタル企画本部/イノベーション推進本部兼任
所属(当時):イノベーション推進本部

受講の目的:
7月から共創プロジェクトのグループに異動予定だったため、PRODUCE THINKINGの研修内容がちょうど良いと思い、参加を決めました。現在は共創プロジェクトに携わりながら、スタッフ部門にも軸足を置いており、事業創りのためのサポートをしています。

■飯田 眞悟さん(以下、飯田さん)

受講時期:2019年6月期(第1回研修)
所属(現在):スマートシティ事業推進室
所属(当時):イノベーション推進本部

受講の目的:
当時イノベーション推進本部で担当していた共創プロジェクトを進める上で、PRODUCE THINKINGはチャンスだと考え参加を決めました。その後スマートシティ事業推進室ができた時に異動し、当初は地域との連携活動を進めていましたが、今は人材育成を担当しています。自分が研修をする際にPRODUCE THINKINGの研修を参考にさせてもらっています

■関谷 和樹さん(以下、関谷さん)

受講時期:2019年6月期(第1回研修)
所属(現在):スマートシティ事業推進室
所属(当時):スマートアグリ事業推進室

受講の目的:
当時は、スマートアグリ事業推進室で農業分野での新規事業開発を担当していました。現在NESではスマートシティの推進に関わる仕事をしています。実は受講時にいくつかの研究プロジェクトに参加する中で起業の誘いを受けており、PRODUCE THINKINGを受講したことでできるビジョンが描け、勝手に後押しされて副業で起業しました。

■PRODUCE THINKING LAB 主宰 金田隼人

1990年、埼玉県深谷市生まれ。大学在学中に複数社より協賛を受け、世界一周大学巡りを実施。帰国後、(株)営業課にて資金調達を経て取締役副社長就任。営業学プログラムを開発。その後、(株)ネームレス設立、代表取締役就任。新規事業開発の伴走や新規事業プロデューサー育成メソッド「PRODUCE THINKING」を研究、大企業を中心に研修事業を展開。

>>金田
皆さん、ご無沙汰しております。本日は、お忙しい中PRODUCE THINKING LABの座談会にご参加いただきありがとうございます。PRODUCE THINKINGの研修も今年で1つの節目である3年目を迎え、現場実務や共創活動により活かしていただく形に昇華できないか模索しています。

この座談会を通して、実際に受講いただいた皆さんの声を伺い、PRODUCE THINKINGをより強化するきっかけにしたいと思っております。
よろしくお願いします!

>>関谷さん
金田さん、お久しぶりです!
8回の研修の中で、一番インパクトが強かったOne Wordは、「イメージできてこそ行動できる」という言葉でした。受講当時、実は起業しないかという誘いを受けていました。研修でこの言葉を聞いて勝手に後押しされて、誘いを受けていた仲間との事業成長のイメージができて、その年の11月頃に副業で会社を創りました。PRODUCE THINKINGの研修が起業のきっかけになったので、すごく印象に残っています。

実際にアグリテック分野で起業してみて感じたのは、起業は誰でもできるのですが、その後に土壌を整えるのが難しいということ。目指している先が日本農業において先進的な内容なので、土壌を整えるところに課題を感じています。そこを金田さんと一緒にやりたかったと思っています。

>>金田
ありがとうございます。今からでも、ぜひご一緒できたら嬉しいです!
みなさんはNESでPRODUCE THIINKINGを一期8回の講座形式で導入した、第1回の受講生です。黎明期でもあり、特に思い出深いです。PRODUCE THIINKINGとは何か、情報が無い中で参加いただいたこともあり、全体的に、特に好奇心や意欲の高いイノベータ層だと感じていました。その中でも、御三方には昼休憩や終了後にも積極的に質問いただいていたので、イノベータ of イノベータだと感じていました。

今はPRODUCE THIINKINGもフルリモートで実施していますが、当時は新木場の研修ルームでやっていましたね。
貴社とは、研修の機会をいただく前にも地域でのワークショップで企画から実施までをご一緒していたので、カルチャーにも触れていて研修も取り組みやすかったです。

>>関谷さん
私は中途入社であり、カルチャー的な違いを感じていました。横の繋がりが少ないときにPRODUCE THINKING研修に参加したことで、NESにはこのような人たちがいるなら大丈夫と思えました。このメンバーが組織横断で入ったら、面白いのだろうなと感じましたね。

>>金田
研修でも“リスキリング”“OSのアップデート”というキーワードを重視しているのですが、経営陣含め、そうしたキーワードが社内で飛び交うようになったと伺っています。継続してやっていくことで、受講生同士のネットワークや共通言語ができることが重要だと改めて感じました。

>>飯田さん
ちなみに、現チームから1名が今回(5期)に参加していると思うのですが、実は私の推薦です。絶対受けた方がいいからとオススメしました。

>>金田
そうだったのですね。その方は研修中のディスカッションでも積極的に発言されていました。

>>土屋さん
私はスタッフ部門に所属しているので、同期受講生と社内メールなどで連絡する機会があるのですが、あの時はお世話になりましたという言葉がポロッと出ます。そういう時にPRODUCE THINKINGはすごいなと思います。

■当時、初めて聞くPRODUCE THINKING研修になぜ参加しようと思ったのか、どのような意識で参加されましたか?

>>土屋さん
私は、共創プロジェクトに携わることが決まっていたので、渡りに船だと思い、異動先の上司に許可を取って参加しました。金田さんのように実践された方たちがこれまで培ってきた知見を研修で伝授いただけるなら、頼りにしない訳にはいかないと思っていました。

>>関谷さん
当時、アグリ事業を担当していて、新事業開発に苦労していました。アイディアはあっても、NESの強みではなく、NESの立場でやると難しくなることがあり、それを打破するきっかけとして、新たな考え方を取り入れたいと考えていました。体系立てて改めて学べると思って参加を決めました。

>>飯田さん
当時、産官学連携で大学やその地域の自治体とコンソーシアムを立ち上げたり、NPO団体と活動させていただいたりすることが多くありました。自分なりに肌感覚で共創はやれていたと思っているのですが、勘に頼っていました。実はこの研修の受講は「飯田さんには必要がないだろう」と当時の上司から当初はNGを出されました。しかし、論理的に整理したかったし、共創から事業に繋げる方法がわからなかったので参加させていただいた。
研修を通じて、自分がやってきたことの良い点と見直す点が見えました。

■8回の研修の中で特に印象に残っているテーマは何でしょうか?

>>飯田さん
どれも良かったのですが、5日目ビューポイントのスキル編「ニンジャ人材としての働き方」がすごく腹落ちしました。私自身、会社の中で微妙な立ち位置で、なんとなく報われない部分があると感じていましたが、自分がニンジャ人材だとわかり、ハッとしました。自身の行う研修や他の研修のプレゼン機会にも活用させていただいています。

共創プロジェクトにおいても、ニンジャ人材としてのキャラクター戦略、溶け込むための方法も大事だと感じています。今までは糸が切れて振り向くと誰もいない、ニンジャになるのは重要だが、糸の切れた凧にならないように、太い糸を作って現地に入り込むというメッセージはみんなから共感されます。

>>関谷さん
私も飯田さんと似た状況を感じたことがあり、記憶に残ったのはニンジャ人材でした。ただ、最もインパクトが強かったのは、やはり「イメージできてこそ行動できる」という話です。そのキーワードを聞いて、これはやれ(起業しろ)ということだなと感じて動いたのを覚えています。

>>金田
2回目のマインド編の内容ですね。そういえば、研修後に関谷さんから起業を考えていると相談があったのを覚えています。

>>関谷さん
そういえば相談しましたね。後押しされて、行動しました。ビジョンのイメージができると、仲間との共有がやりやすくなりました。ビジョンが仲間の原動力になり、仲間たちから「これはいけるのでは?」と言ってもらえた時点で始めるべきだと思えましたね。

>>金田
マインドのセッションのまとめの部分だったと思うのですが、まさに当時の関谷さんのマインドの状況に刺さるもので、よかったと思います。

>>土屋さん
私は、心技体の“あり方”から始まったので、この研修は大丈夫と信頼できたのを覚えています。スキルだと上手い下手の話になってしまうのですが、あり方は自分がしっかりしていれば良いと思えました。全体を通して、人に対する“信頼”を学べたと感じています。

ワーク中やPRODUCE THINKINGの運営スタッフの方の関わりの中でも、人を切り捨てず、大事にしている研修だと感じました。それらを通じて、コミュニケーションの戦略を考えるようになりました。

キーワードとして印象深かったのは、「0.1の種」の話ですね。絶対に何か1人1つ種を持っているということを聞いて、人との関わりの中でも、種を見付けようとする習慣が芽生えました。

>>金田
心技体のテーマは、初回の方で触れた内容でしたね。アスリートは自分の意図した通りに身体を動かせる人であり、実はプロデューサーにも心技体が必要だとお伝えしました。
その内容は今も研修でやっていまして、“あり方”を突き詰めるところから入るのは、PRODUCE THINKINGが大事にしているポイントです。研修を信頼できると感じるきっかけになったというのは、本当に嬉しい限りです。

「0.1の種」は、PRODUCE THINKINGの代名詞と言えるものになっています。0.1の発掘は、感性ではなく視点さえ持てば誰でも見付けられることなので、チームで0.1の議論が生まれてくると嬉しいです。

プロデューサーとして、人間関係をどう良好に構築していくのかは重要なポイントなので、お互いのいいところを見付け出せるかは0.1の発掘にもつながる視点です。プロデューサーは価値創出や事業の種の発掘を担っていくのですが、それは良好な人間関係、人同士のつながりで生まれてきます。私自身も。この信頼関係を大事にしています。

>>関谷さん
今、すごく腑に落ちました。自分のやってきたこともまさにその通りで、信頼できる人の信頼できる人は信頼できるという“信頼の連鎖”が生まれていて、0.1より小さいものが合わさって0.1になる接合点の中に、プロデューサーがいるような感覚です。
私がやっていることはまさにそれだなと感じています。私のアイディアが豊富なわけではなく、人と人を繋いでいるうちに0.1か、それ以上になっていることがあります。

>>金田
私自身、色々な場に入り込めているのは、本質は目先の利益よりも信頼関係を大事にしているからです。例えば、競合他社の悪い点を伝えることはせず、相手にとって何が一番いいのかをフラットな立場で伝えることを意識しています。改めて、自分の芯はマインドのあり方です。

関谷さんがおっしゃっていただいた通り、導く先と目の前の視点とを組み合わせていくと、いい方向に進みます。
それがプロデュースの醍醐味で、面白いところでもあり、難しいところです。研修で行うことで、皆さんに感じ取っていただけたことは本当に嬉しいです。

>>関谷さん
プロデュースできたという実感を伴っているのは羨ましいです。
私はまだつないでいる段階で、プロデュースできたと実感できるものがまだありません。方向性は合っていると思うのですが、プロデュースは長期戦になるので、合っているのか不安になることがあります。

でも、地道に信頼関係を築きながらやっていくといずれ結果が出始めるタイミングがあると思っていて、今、関わっているプロジェクトで将来的に実感できるようになりたいですね。

>>金田
今の話に自分ごととして共感していただいた時点で、ピンボケしていないので、視界良好だと思いますよ。

>>関谷さん
心配になると、金田さんの顔が浮かぶことがあります。今関わっているところは絶対に面白くなる自信があります。動き始めていて、最終的に、農業からその地域でのフェス実現までできたら、イメージの完成です。
つなぎ切ったらできるのですが、つなぎ切るのが会社の仕事にならないことも多いので、なかなか難しいと感じつつも、楽しんでやっています。

オンライン座談会前編は、主に研修を受講した中で感じたことを中心にお話いただきました。次回の後編では、研修終了後、実務の中でどのように活かされているのかを紐解いていきます。

→座談会後編に続く

■プロデュース・シンキングとは?

プロデュースシンキングとは、事業開発プロデューサーの能力開発を体系化した独自メソッドです。

これまでは組織を中心に事業が創造されてきましたが、今では個が個と繋がることで生まれたプロジェクト、いわゆるPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)から事業が創造される時代になりました。プロジェクトが中心となった新規事業開発の現場において、企業人・個人問わず、プロジェクトを発起する前から寄り添い、発起後も推進していける “プロデューサー”の存在が大きく必要とされています。

プロデュース・シンキングでは、既に企業や自治体、大学等にご導入いただくなど、プロデュースの事象を集め、プロデューサーの考え方や行動を分析し、企業研修・教育・啓発・実践に活かすことでプロデューサーを育成し、世の中にある幾多のプロジェクトに対して、プロデューサーを中心に事業を成果へ導くきっかけとなることを目指しています。

PRODUCE THINKING LAB公式HP