INTERVIEW

2021.12.04

【座談会】伴走してほしい…現場で活かすリスキリング最前線〜後編〜

<概要>
“共創”をキーワードに、企業の枠を超えて共通の目的を持った同志が共にプロジェクトに取り組む時代となりました。PRODUCE THINKING LAB(プロデュース・シンキング・ラボ)の記事企画として、共創活動の重要な起点となる“事業プロデューサー”を育成する独自メソッド「プロデュース・シンキング」の研修プログラムを受講いただいたNECソリューションイノベータ(以下、NES)社員の方を招き、オンライン座談会を実施しました。
前編では、当時の“刺さったワード”や研修中に感じたことを中心に伺いました。今回の後編では、研修終了後に実務でどのように活かされたのか、また、受講生の目線からPRODUCE THINKINGに今後どのようなことを期待するのかをざっくばらんに伺います。

>>金田
座談会前半、お疲れ様でした。
後半は、PRODUCE THINKINGの研修を受けていただいて、その後、実務にどのように活かされたのかを伺っていきたいと思います。
よろしくお願いします!

■どのような時にPRODUCE THINKINGが現在の活動や業務の中で活きていると感じますか?

>>関谷さん
一番影響があったのはスキルよりもマインドセットだと思います。恐らく、飯田さんも共創活動のプロデュースを体系立てて学んでいなかっただけで、経験の中でスキルの基礎はできていたと思います。
私自身、改めて後押しいただけたと思っているのは、マインドセットの部分です。今日こうして話してみて、行動の中でも活かされていたことに気づきました。今でも飯田さんや土屋さんと一緒に仕事ができているのは、そのマインドセットがあったからだと思います。

>>飯田さん
研修を受けて仲間作りの重要性に気づきました。今までは個人戦でしたが、何となくの感覚でやっていました。コロナ禍で1人の力の限界を痛感しました。何かを動かすには、賛同者や仲間、チームワークが必要で、理解していただかなければいけません。
自分はニンジャとして地域に溶け込んで情報をしっかり得て、仲間にフィードバックして現地のアクションに活かすことを心がけました。そうすることで、社内の賛同者も増えて、糸の切れた凧にならず、支えてくれる方が増えました。実際に、課題解決型のワーケーションという形で、事業として組み立てることができました。これは、PRODUCE THINKINGを通じて、意識して行動に移した結果だと感じています。
プロジェクトには、自治体だけでなく、地域で活動されている団体も関わっていて、大きなチームになっています。これも受注優先ではなく、信頼関係を重視した戦略を持って進められたからアウトプットに繋がったと思います。

>>土屋さん
成果が出ているわけではないのですが、人との関わる時の姿勢に活きています。今は、0.1を集めて1にしていくことが、メインの業務です。まだ形にはなっていませんが、自分が携われる人たちの0.1もしくは0.01かもしれませんが、集めて1にしていける可能性を感じています。上手くいっていないこともありますが、他責にしないで取り組めています。
また、研修と並行して携わっていた共創プロジェクトでメンバーに刺さったのは、「私たちは何をしないか」を決めることでした。話が整理されてプロジェクトがスムーズに進みました。

>>金田
あえてしないことを決めておくというのは、ステートメントシートを作るときだったと思うのですが、実践に活かしていただけた話を聞けると嬉しいですね。
私も実務の中でやらないことを決めておくことは大事にしていまして、ポリシーでも意思決定上でもそうですが、やらないことやリソースが足らないので、あえて諦めることを決めておくと、議論がシャープになっていきます。

■他の研修とPRODUCE THINKINGはどのような違いを感じますか?

>>土屋さん
コンサルティング業の方がやっている研修は他にもありますが、PRODUCE THINKINGは 金田さんご自身の実践をベースにした研修で、どんどんアップデートされています。評論家的な抽象度が高い研修も大事なのですが、別の場で実践しながらそこで得た新鮮な知識を持ってきてくれる点が全然違ったと感じています。

>>金田
特徴を言語化してもらえると嬉しいですね。

>>関谷さん
土屋さんが仰ってくれたことは私も腑に落ちました。金田さんはコメンテーターではないというのがすごくわかりました。実践の中で得られた言葉だからこそ、その時の自分にも刺さる感覚があったのですね。PRODUCE THINKINGはリアルに体感していることと並行して考えながら受講していたので、実践に活かせる研修だったと思います。自分ごととして相談にいける稀有な研修でしたね。実際、休憩時間に金田さんに本気で起業の相談をしていましたからね。

>>金田
研修の講座設計時にも、受講生の皆さんの実務を想定しながら、実務、受講生のみなさま、研修内容、我々の関わりの中でどう研修の価値を作れるか、実務に研修の内容を活かしていただけるかをイメージしながら作っていました。それが等身大の研修につながったのではないかと思っています。

>>飯田さん
皆さんと同じです。他の研修と大きく違うのは、手触り感のある研修だったことです。私は、成功は俗人的で失敗は普遍的だと考えており、現在は俺みたいになるなと失敗談を下敷きにして研修で伝えています。ビジネス書では、偶然の成功をこうすべきだと言っているものが多いです。外部研修では、評論家的で、自分で試していないことを言っているものも多いです。PRODUCE THINKINGは、小さなものから大きなものまで業種問わず色々なゼロイチをやった上で研修化しているので、このリアル感は他の研修ではないのではないかと思います。

>>金田
褒めていただいて恐縮です。ありがとうございます。
スタンスとして、当社は研修会社ではないですし、コンサルタントでもないので、体験してきたことを言語化しています。飯田さんの研修ではないのですが、自分が失敗したことも研修に活かしています。研修という形ではありますが、事業伴走のマインドで研修をやっています。

>>飯田さん
伴走感をすごく感じましたね。

>>関谷さん
こうなってくると、引き合わせてくれた担当者を褒めないといけなくなってきますね。あの方は嗅覚がいいのだと思います。

>>金田
ご担当者の栗藤さんとPRODUCE THINKINGのお話をした際、ほぼ即決でしたね。少し話しただけで他の研修との違いも見抜かれていたと思います。

>>関谷さん
PRODUCE THINKINGをいち早く社内研修として組み立ててくれたのは、とても有難いと思います。こういう嗅覚の鋭い人はサポートしていく必要があると思います。それが将来的な会社の成長を支える大事な土台になると思っています。

>>金田
PRODUCE THINKINGも御社で3年の区切りを迎え、研修として昇華していくのか、実務伴走に落とし込んでいくのか検討される時期になっていると思います。

>>飯田さん
私は今のミッションとして必要な人材像の定義をしているものの、そこにハマるカリキュラムのイメージが湧きません。技術教育はたくさんあるので選べます。しかし、ピラミッドの上に行けば、コーディネーターやプロデューサーというレイヤーがあるのに、プロデューサーを目指すカリキュラムが正直見当たらなくて、最初に浮かんだのはPRODUCE THINKINGでした。ぜひ協力して進めていきたいです。

>>関谷さん
私も今、飯田さんと同じ部署に居てそう思います。

>>飯田さん
人材“育成”から人材“活用”に変えていくチームに変えていく可能性があると思っています。自社で育てようとすると無理があり、人間力を学ぶのは現場で学べという話になってしまう。多数の人を相手にするカリキュラムがなくて悩んでいたので、ぜひまたご相談させてください。

>>金田
ぜひ、ご相談ください。今期のPRODUCE THINKINGでも嬉しかったのは、とある案件に関わっている方がいらっしゃって、研修期間中に相談のご連絡をいただき、その事案に関してすぐに上司の方に話を通してくださいました。私としても、具体的なご相談をいただけるのはすごく嬉しいことです。

>>飯田さん
ピラミッドの上層部分(コーディネーターやプロデューサー)の研修を作っていただく相談はできますか?

>>金田
もちろんです。むしろ一緒にプログラムを作っていけたら嬉しいですね。

>>飯田さん
ありがたいですね。デジタルによりすぎず、上層の人間力やプロデュース力を身につけるカリキュラムがあったら嬉しいと思っています。

>>金田
ぜひ、よろしくお願いします。プログラム作りもそうですし、共創パートナーとの合意形成、やろうとしていることを理解していただく場は重要です。一緒に組んでやっていけたら嬉しいです。

>>関谷さん
それはありがたいです。実はそういう場面がいっぱいあり、課題になると思っていました。

>>飯田さん
直近で課題になっていますからね。俗人的すぎてやれる人がいないのです。

>>関谷さん
共創で色々なステークホルダーと関わりながらも、自社の事業をプロデュースするためにという視点を忘れないようにする必要を感じています。共創事業はそれだけでは儲からないので、その先に繋げるために、この事業をやるということを忘れてはいけないと思うのです。
基礎を固めるためにも地域の方と共有した上で進めるのは非常に重要なので、テコ入れはぜひ一緒にお願いしたいです。

>>金田
研修を通して、結局は実務に活かしていただくのが一番重要で、活かせる要素だったり、実務に対してプログラムを尖らせたり、その先のプロジェクトメンバーに対して共通のOSを持って進めていくのは理にかなっているので、ぜひ活かしていけたらと思っています。研修という形式には拘っていないので、実務に落とし込むことも見据えてやっていけたらと思っています。

■今後貴社にもこういう単位で活かして欲しいという要望がありましたら、お聞かせください。

>>飯田さん
既存の研修で受けられないもの、現実的な現場の対話ができるプログラムがあったらいいと思っています。カリキュラムが終わった後に振り返る必要があるので、立ち返れるものだと嬉しいですね。既にPRODUCE THINKINGはそういう形式なので、VUCA時代には本当に必要な研修だと思っています。

>>土屋さん
飯田さんが仰ることに同感です。実践している人たちに寄り添ってもらえるアドバンス版のカリキュラムがあると嬉しいです。あとは、模擬というか、実践型研修があっていいと思います。研修の枠組みではないですが、金田さんたちと一緒に働きながら振り返れる機会があればすごくいいなと思います。

>>金田
OJTに近い実務ベースで資料作りやセッションをするようなことができたら良いですね。組織の皆さんの実務との兼ね合いでできるところを、人材育成ご担当者とも模索していて、具体的な案件の話も出たりしているので、近いうちに実現できるのではと私も期待しています。

>>関谷さん
飯田さん、土屋さんと同じような話になってしまいますが、OJT的に研修の最後にリアルな実地研修があると良いかもしれません。スマートシティのように地域共創が入るパターンがあり、そこに割ける人のリソースの問題があります。研修を通して、リアルな場に行ってもらって、その場で研修生の方は金田さんたちに伴走してもらい、PRODUCE THINKING卒業生で人材リソースのプールを作り、そこからメンバーアサインして送り込む形ができれば、会社としての好循環が生まれると思っています。

>>金田
率直なご意見ありがとうございます。コロナ禍以降、受講者の皆さまとインタラクティブなやりとりをさせていただくためにSlackを活用していて、受講していただいた皆さんのコミュニティを作って学びあえる環境や、お互いのメンタリングをし合える場を作っていけるといいという話をいただいていて、形にする方法を模索しています。
PRODUCE THINKINGも既に御社では100名ほどの方に受講いただいていて、コミュニティ化ができれば、学習のシェアができ、共通言語で語れる場があれば新規性の高い事業に取り組まれる方にはプラスになると思っています。

>>飯田さん
すぐに欲しいですね。

>>金田
新規事業は、大手企業のトップの方たちが新規事業の経験がない状態でマネージャーになるケースが多いので、現場の視点が伝わらずにすれ違いが起こることがあります。他社では、経営層にも実施して欲しいという意見がよく出ます。

>>土屋さん
経営層には、全く同じカリキュラムというわけにはいかないかもしれませんが、共通言語で対話ができるようになると良いですね。

>>飯田さん
時に新事業は1〜3年で十分実現できるだろうと言われることもあるので、新事業のゼロイチはイージーに考えられがちなのかもしれませんね。。

>>金田
ベンチャーだと新規事業を進める方もいれば、財務面を見る方もいて、その中で会社としての意思決定ができるのでスピード感含めて早い傾向にあります。

>>土屋さん
コミュニティづくりはいいですね。他の期の方とも繋がりたいですね。

>>金田
学び場の1つの資産は、受講生同士のネットワークだと思うので、具現化していない状況はもったいないと感じています。月1回のオフ会からでも、実施していく必要があると思っています。
今回、座談会形式でインタビューの場を設けさせていただいたのですが、継続的にこのような場を作っていけたらと実感しています。

>>飯田さん
私もナビゲーターとして色々なプロジェクトに伴走しています。その中で一番大事なキーワードは、振り返りです。PRODUCE THINKINGは良いカリキュラムなので、半分身に付いて半分忘れてしまったというよりは、補完できる継続的プログラムがあると長くお付き合いできると思います。

>>金田
今回、このような機会をいただいてリアルな声を聞けたことが嬉しいです。また、受講からの2年間での変化も感じつつ、最前線で活躍されているお話や、具体的な課題に直面しているというお話も聞けて、一貫してプロデュースにおいて研修を通じてお伝えした部分が、実務の場で活かされていることを私自身も実感できて有意義でした。

今日を機に再会できたことはとても嬉しかったです。
ありがとうございました。

>>土屋さん
こちらこそ、座談会の機会をいただけて本当にありがとうございました。

>>飯田さん
振り返れたね。あらためて頑張らなければと思えたかな。ありがとうございました。

>>一同
ありがとうございました!
お疲れ様でした。

【座談会参加者紹介】

■土屋 一美さん(以下、土屋さん)

受講時期:2019年6月期(第1回研修)
所属(現在):デジタル企画本部/イノベーション推進本部兼任
所属(当時):イノベーション推進本部

受講の目的:
7月から共創プロジェクトのグループに異動予定だったため、PRODUCE THINKINGの研修内容がちょうど良いと思い、参加を決めました。現在は共創プロジェクトに携わりながら、スタッフ部門にも軸足を置いており、事業創りのためのサポートをしています。

■飯田 眞悟さん(以下、飯田さん)

受講時期:2019年6月期(第1回研修)
所属(現在):スマートシティ事業推進室
所属(当時):イノベーション推進本部

受講の目的:
当時イノベーション推進本部で担当していた共創プロジェクトを進める上で、PRODUCE THINKINGはチャンスだと考え参加を決めました。その後スマートシティ事業推進室ができた時に異動し、当初は地域との連携活動を進めていましたが、今は人材育成を担当しています。自分が研修する際にPRODUCE THINKINGの研修カリキュラムを参考にさせてもらっています。

■関谷 和樹さん(以下、関谷さん)

受講時期:2019年6月期(第1回研修)
所属(現在):スマートシティ事業推進室
所属(当時):スマートアグリ事業推進室

受講の目的:
当時は、スマートアグリ事業推進室で農業分野での新規事業開発を担当していました。現在NESではスマートシティの推進に関わる仕事をしています。実は受講時にいくつかの研究プロジェクトに参加する中で起業の誘いを受けており、PRODUCE THINKINGを受講したことでできるビジョンが描け、勝手に後押しされて副業で起業しました。

■PRODUCE THINKING LAB 主宰 金田隼人

1990年、埼玉県深谷市生まれ。大学在学中に複数社より協賛を受け、世界一周大学巡りを実施。帰国後、(株)営業課にて資金調達を経て取締役副社長就任。営業学プログラムを開発。その後、(株)ネームレス設立、代表取締役就任。新規事業開発の伴走や新規事業プロデューサー育成メソッド「PRODUCE THINKING」を研究、大企業を中心に研修事業を展開。

■プロデュース・シンキングとは?

プロデュースシンキングとは、事業開発プロデューサーの能力開発を体系化した独自メソッドです。

これまでは組織を中心に事業が創造されてきましたが、今では個が個と繋がることで生まれたプロジェクト、いわゆるPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)から事業が創造される時代になりました。プロジェクトが中心となった新規事業開発の現場において、企業人・個人問わず、プロジェクトを発起する前から寄り添い、発起後も推進していける “プロデューサー”の存在が大きく必要とされています。

プロデュース・シンキングでは、既に企業や自治体、大学等にご導入いただくなど、プロデュースの事象を集め、プロデューサーの考え方や行動を分析し、企業研修・教育・啓発・実践に活かすことでプロデューサーを育成し、世の中にある幾多のプロジェクトに対して、プロデューサーを中心に事業を成果へ導くきっかけとなることを目指しています。

プロデュース・シンキング・ラボ公式HP